【家で映画 vol.5】『カクテル』(1988/アメリカ)

『カクテル』(1988/アメリカ) トム・クルーズの映画は何が好きかと聞かれたら、私は『カクテル』と答えます。物語は主人公が軍を除隊するところから始まる。学歴はないけど億万長者になる夢だけを持ち、ニューヨークへ向かう。簡単なあらすじですが「野心…

【家で映画 vol.4】『みなさん、さようなら』(2003/カナダ,フランス)

『みなさん、さようなら』(2003/カナダ,フランス) センスがあるのかないか分からない微妙な邦題なのだが、原題は『蛮族の侵入』である。ちなみに蛮族とは父親にとっての息子を意味している。劇中では、仲の悪い親子が末期がんの父に対して向き合う姿が淡々…

『暇と退屈の倫理学』(國分 功一郎)

『暇と退屈の倫理学』(國分 功一郎) 「なんとなく退屈だと」という心の声は誰しも聞いたことがあるだろう。『暇と退屈の倫理学』によると、この心の声は人間にとって耐え難いことであると書かれている。 ▼消費と浪費は異なる 現代において「消費」とはモノ…

『うたかたの日々』(ヴィアン)

『うたかたの日々』(ヴィアン) 1940年代のフランス小説であり、ファンタジーな世界観が特徴的だ。「ニキビよ消えろ」と願えば消える、クロエという恋人とデートする日は雲が二人の前にやってきてパッとはじけてシナモンシュガーの香りが残ったりする。そこ…

『フォーカス・リーティング』(寺田昌嗣)

『フォーカス・リーティング』(寺田昌嗣) 素早く本を読んで必要な知識を入れたい人はいますか。そういう人は『フォーカス・リーディング』という本に書いてあることが参考になるかもしれません。 ◾️読書には3種類ある まず速読する前に共有したい前提事項…

【家で映画 vol.3】『動くな、死ね、蘇れ!』

『動くな、死ね、蘇れ!』(ソビエト連邦/1989) 1989年に旧ソビエト連邦が制作した映画であり、1990年にはカンヌ国際映画祭カメラ・ドールを受賞している。暗そうな映画だが、予想裏切らず思いっきり暗い。(観る人は覚悟して観よう) 第二次大戦後、スーリ…

満員電車、飲み会、「カバンの中身は何ですか?」的動画…

COVID-19蔓延前の日常を愛しいと思えたときもあったが、徐々に感覚が変化して今ではとてもダサいと感じはじめている。 満員電車は言わずもがなダサい。正直、通勤は運動にもなっているし、一人の時間なわけだし、ダサいと思わない。戻ってきてほしいと思うこ…

【家で映画 vol.2】『THX 1138』

『THX 1138』(アメリカ/1971) ジョージ・ルーカスの長編映画デビュー作で、人間がコンピュータに完全管理されているディストピア映画。真っ白な部屋とか、ロボット警官とか、AIの神とかは部分的に面白いものはあるが、エンタメ性はなく退屈である。後のス…

「この飛沫がいいんだよ」というクールな行為

二ヶ月ぶりに散髪をした。今までは電車移動で20分ほどかかる床屋に行っていたが、近所の床屋に行った。その床屋は換気と消毒とスタッフの体温検査、マスク着用、最小人数の体制、顔剃りはしない等の三密対策をしていた。顔剃りをしてもらえないのは残念だが…

zoom飲み会はもう飽きた

ウィルスによって社会変革が促されている。リモートワークとかソーシャルディスタンスとかあるけど、個人として何か変えようと思うことはあるか。僕は「発信」だなと思う。一ヶ月前は「今までの日常が戻ってほしい」と思っていました。飛沫が顔面に直撃する…

『ペスト』(カミュ)

『ペスト』(カミュ) コロナ前の世界に作られたものが古めかしく感じる。特に昨年末や年明け直後に未来予測したような本は読む気にならないから連休にすべてメルカリで始末した。 コロナ後の世界について書かれた書籍はまだまだ少なく、識者たちは電波を介…

zoom飲み会はすぐ飽きられるのか?

先週初めてオンライン飲み会なるものに参加した。最初はどうなるかと思ったが、案外楽しかった。 そのほかオンラインでの勉強会やコーチングもやった。ツールはzoomだけでなく、RemoとかTeamsとかいろいろ使っている。 オンライン飲み会も楽しいじゃないかと…

外出できないから本を読もうと言うけれど

外出できないから、家で本を読もうという人がいる(少し前の私だ)。だが問題がある。 昨年末や今年1月に買った本があるのだが、なんかもう古い気がする。2030年の世界! オリンピック後の日本! みたいな主旨の本が描いた未来は新型肺炎によって書き換えら…

仲良い人の「言ってることは分かるけど」は困る

「言ってることは分かるけど」と思うことはよくある。とある事象があって、仲の良い人が私見を述べたとする。 言ってることは真っ当だが、それに対するカウンターが行き過ぎていると思うことがある。そのカウンターに至るまでのプロセスも分かるし、当事者に…

【家で映画 vol.1】『カダカ』

『カダカ』(アメリカ/1998) 20年以上前のSF映画であり、遺伝子操作による出産が当たり前の世界で、普通に生まれた子供が差別を受けるけど、選別されたエリートのフリをして、エリートの世界で目指すという話である。選民思想価値観への対抗・やさぐれたエ…

withコロナ時代の個人の行動変容について

先月まで通勤して会社勤めしていた私だが、今週から在宅勤務が始まった。ポイントは在宅勤務であってリモートワークではない。昨今のネガティブな事情により、自宅から仕事をするのだ。決してサテライトオフィスではない。 ちなみに私はアウトドア派である。…

トイレットペーパーが無くなるのよ

「トイレットペーパーが無くなるのよ」 妻はひどく落ち込んでいた。実際に近所のドラッグストアにはトイレットペーパーもティッシュペーパーも売っていなかった。「それはデマによって、一時的な買い占めが起こっただけだよ」「そんなことは分かっているけど…

コロナ世界の片隅で

「つまりキャンセルしたいってことかい?」 電話を通して聞こえるマスターの声に抑揚はなかった。手狭なカウンター越しにため息をついている様子が眼前にまざまざと浮かんだ。「僕としても残念なのですが、昨今の事情を考えると見送りたいと思っているんです…

労働者失格

はしがき すべては考え方次第、ではないかと強く思ふようにになりました。抽象的なことでよく分からないと思ふので、順を追つてゆきます。勉強していても、要領が良くても、明るくても、その人の考え方がすべての根源なので、何かおかしいと思つたらそこを見…

5月に100パーセントの筋肉に出会うことについて(3/3)

妻は細い腕でレバーを引いた。勢いよく水が流れた。 「流れるじゃない」 何も言わない僕をよそに、妻は用事があると告げ、簡単な身支度を整えて外出していった。部屋には僕だけが残された。 僕は混乱していた。夜の海にちっぽけな浮きが漂うように、どうして…

5月に100パーセントの筋肉に出会うことについて(2/3)

「とにかく何も分からないということね」大家は電話越しに言った。空気がぴんと張りつめた。僕自身、誠意を持ってトイレが詰まった時の状況を伝えたつもりだった。春の嵐のように突如トイレが使えなくなったこと、24/365の業者を呼んだら筋肉質の若い青年が…

5月に100パーセントの筋肉に出会うことについて(1/3)

予感めいたものはなかった。突如自宅のトイレが詰まった。それは誰にも想像できなかっただろうし、僕自身そういう場面に遭遇するのも初めての出来事だった。 僕はGoogleで「トイレ 詰まり」と検索した。YouTubeにはたくさんのトイレ詰まりを解消する動画で溢…